どこの施設でも「防犯設備」は必須ですよね。警備会社との提携は、どこの施設でも行っています。
でも現場職員が期待しているのは、「泥棒対策」ではなく「認知症対策」です。
夕方から夜間の「認知症」の定番 / 「帰宅願望」
「認知症」と切っても切れないのが、「帰宅願望」です。どの施設であれ、職員が一番ストレス感じる業務ではないでしょうか。
「いつまで、こんな所にいるんだ !!」
「早く帰らなきゃ !!」
となるわけです。
私の経験だと女性の方がやや多く、「帰宅願望」が始まるタイミングも、早いような気もしますが、これは勘違いでしょうか。
夕食準備をする「習慣」が、起因するのかと想像しています。
「認知症対応型・デイサービス」に勤務していた頃、一番大変だったのが「帰宅願望」対応でした。
自力歩行困難な方を含めて、帰宅願望の数名を、スタッフ一人で対応するなんて地獄ですよ!!
帰宅願望 / まさか夜中に
夜間の0時、センサーが鳴りました。
警備会社から確認の電話があり、駆けつけますとのことでした。
先ず、我々介護職員がすることは、各入居者の安否確認です。
居室を巡回すると、
なんと!窓が開いてる!
廊下を探してもいませんでしたが、非常階段で身柄を確保しました。
「いや~、家に帰らないとダメなのよ」だって。
「夜間0時にどうやって帰るの?」
それは、我々の価値観でしかありません。
「認知症」の方は、「早く帰らないと困る」という感情が、こみ上げてくるんですね。
「夜は自宅で過ごす」
これが長年培ってきた習慣であり、「認知症」になっても維持されるんです。
その後、対策として「窓センサー」が設置されました。
「帰宅願望」への基本姿勢
帰宅願望でスタッフの不適切な行動は、
「ダメです」「待って下さい」と、行動を制止することです。
これは現場介護士なら、誰もが知っている基礎知識ですよね。
帰宅願望への対応・成功例
制止するのではなく、「待ってもらう」声かけ誘導を行わなければなりません。
私の成功例をあげておきます。
・車を用意する
「歩いて帰るのは危ない」「車の方が安心」「娘さんから頼まれました」「もう申し込みしてしまいました」「電車やタクシーはお金がかかる」「ここの車ならダダ(無料)」「使わないと損ですよ」
このあたりのワードを盛り込んで誘導すれば、時間が稼げて雰囲気が変わる可能性ありです。
特に主婦の場合、「タダ(無料)」「損する」のワードは有効でした。倹約する習慣があるからでしょう。
・夕食に誘う
「娘さん、家に帰るのが遅くなるそうです」「ご飯だけ食べてきてと、連絡がありましたよ」「ご飯の準備と片づけは、面倒ですよ」
家事の面倒さを取り込んでみるのも手です。
・持ち物チェックをする
「あれ、持ちましたか?」「あれ、忘れてませんか?」と、
帰宅することを「容認」した上で、持ち物を確認してもらい、探してもらいます。
事前に家が留守であることを告げておいて、最終的には「家の鍵」まで引っ張ります。
但し、見つからない探し物は、不穏になるリスクもあります。その方の特徴を考える必要ありです。
・他
思い出し次第、更新してゆきます。
【現場経験者が解説】施設選びのポイント / 「グループホーム」概要とメリット・デメリット file5 - 派遣介護福祉士の資料 - 施設選びと認知症対策
提言
「グループホーム」に入所されている、ご家族様
施設だから安全とは限りません。
防犯センサーはありますが、ご家庭と同様に一人での外出はあり得ることです。
「デイサービス」では、施設内で行方不明になった「重度の認知症」の方が、1人で自宅に帰ってきたなんて事もありました。
次回は「介護職を薦める理由」を解説予定しています。