親が老人ホームに入居した時の「あなたの誤解」
- 入居したら介護から解放される
- もう親のことで何もすることがない
- 自由な生活に戻れる
そんなに甘くありません
あなたの親が老人ホームに入っても、あなたの介護生活はまだまだ続きます
あなたは親が老人ホームに入って、どんなことが起こるのか分かっていませんよね?
だから「もう何もしなくても、施設が全部してくれて安心だ」と誤解しているんです。
あなたは老人ホームで「起こること」を知っておくべきです。
この記事では、現場経験を15年以上している現役介護士が、老人ホームで「あなたがすべきこと」を紹介しています。
他では読めない「現場経験者のリアルな話」が満載です
頭に入れておいて、慌てず行動しましょう
- 老人ホームで家族がすべきこと
- 老人ホームで起こるトラブル
- 私の経験談
「両親の老人ホームを探したいけど・・・」
そんな不安を解消ができるように、15年の介護現場での体験を詰め込みました。
2007年に介護業界へ身を投じ、早くも15年が経過。(派遣歴13年)
派遣社員の特性もあり、働いた施設数は「13」になります。
13施設で働いた経験談を読めるのは、この記事しかありません。
- 健康型有料老人ホーム 1施設
- 介護付き有料老人ホーム 3施設
- 住宅型有料老人ホーム 2施設
- 24時間看護師常駐・有料老人ホーム 1施設
- 特別養護老人ホーム 1施設
- 老人保健施設 1施設
- グループホーム 2施設(4ユニット)
- デイサービス 1施設
- 障がい者(自閉症)グループホーム 1施設(3ホーム)
- 居宅介護支援事業所 2事業所
以上、10業態(13施設)を経験しています
派遣の介護士として、いろんな施設で現場経験してきました
・ 私のプロフィール
覚悟!あなたがすべきこと・老人ホームで起こること
介護現場では、思いもよらないことが起こります。
トラブルが起こった場合、対処するのは「家族のあなた」です
介護施設は、あくまでも「在宅介護」の延長。
親が入居したら、あなたの手から離れるわけではありません
することがたくさんありますよ
それでは「老人ホームで起こりうること」と「あなたが何をすべきか」を紹介してゆきます。
親が転んだだけで報告の電話がかかってくる
介護現場で「事故・怪我」があった場合、速やかに家族へ報告する義務があります。
転倒した場合は、無傷でも報告義務ありです
歩行不安定な「認知症の人」は、転倒がかなり多いです。
拘束行為は禁止なので、転倒を避けることは厳しいんです
1週間に2・3回は、電話報告するパターンがよくありました
転倒する度に「電話がかかってくること」は覚悟してください
私の経験談:
転倒を繰り返す人のご家族から、
- 怪我がないなら、電話しないでください
- 留守番電話へメッセージだけにしてください
と希望を受けることがありました。
頻繁に電話がかかるとストレスですからね
あなたの希望に応えるかは、施設の判断になります
希望が叶う保証はありません
転倒報告以外にも、「備品購入」をお願いする電話もあります。
その都度、対応しなければなりません。
介護度が高い人は、施設からの電話がよくあると思ってください
親が入院した時の対応が必要となる
- 体調不良
- 転倒による怪我
施設で暮らしても、入院の可能性は高いです
介護士の虐待など、故意に受けた怪我でない限り、入院費は自己負担です。
スタッフの不注意による転倒での骨折・入院も、自己負担と覚悟しておいてください
あなたが必要なのは、お金だけではありません
あなたの親が認知症の場合、「入院の条件」として日中の「家族の付き添い」が要請されます。
施設の介護スタッフが、「入院患者の付き添い」を、代替することはありません
あなたが病院で「付き添いをすること」になります
介護スタッフの通院の付き添いはないと覚悟
あなたの親が病院へ行くとき、あなたが親を病院まで連れてゆきます
介護スタッフは通院同行をしません
「住宅型有料老人ホーム」だと、通院時間や診察時間の目安が立ちやすい「歯科通院」だと実現するかもしれません。
契約前に確認しておいてください
私の経験談:
介護スタッフの「通院同行」を売りにしていた施設で勤務しました。
人員不足が激しく、介護スタッフの「通院同行」は、ほとんど実現しませんでした。
認知症の人が親の居室へ入ってくる
認知症の人が夜間・日中を問わず、徘徊しています。
間違ってあなたの「親の居室」に入ってくるケースあります。
認知症の人が物を持ち去ったり、物を破損することがあります
物品の弁済はあるかも知れませんが、写真の復元など「思い出の補償」はありません。
体験入居をしておけば、「認知症の人がどの程度いるのか」「徘徊はどの程度なのか」を確認してから入居できます。
自立の人には、普段から施錠(鍵をかける)をお願いする可能性があります。
認知症トラブルは「介護施設のあるある」なんです
トイレの修理代が高額になる可能性がある
あなたの親が「軽度の認知症」なら、「トイレを詰まらせること」があるかもです。
- トイレットペーパーを一度に流し過ぎる
- 尿取りパットを流してしまう
よくあることです
現場スタッフや施設長が、現状回復を試みます。
回復できなかった場合は、業者を呼んで修理することになる
便器を外す「大きな修理」になると、高額になるケースもあり
私の経験談:
トイレが詰まっているのに、水を何度も流した人がいました。
結果は、便器からあふれた水で、床が水ビタシ。
- 水つまり修理
- クロスの張替え
- 居室消毒
かなり高額になった例がありました
居室もしばらく使えませんでした
洗濯した衣服の紛失・破損は必ずある
私の経験上、施設クレームで一番多いのは「洗濯物トラブル」です
ダントツの1位です
お風呂に入った後、施設が服を洗濯してくれます。
(老人保健施設は「家族の持ち帰り」になる)
必ず、洗濯してもらった服・下着が「なくなる・破れる」と覚悟してください
老人ホームの業態別、洗濯の状況
- 「特別養護老人ホーム」、洗濯パートを雇っている施設が多い
- 「介護付き有料老人ホーム」、洗濯パートを雇っている施設は少ない
- 「住宅型有料老人ホーム」、洗濯パートを雇わない(生活支援として、売り上げに計上)
- 「老人保健施設」、「家族が持ち帰り」or「契約業者が回収」
「有料老人ホーム」「グループホーム」では、
通常業務の合間に、介護スタッフが洗濯業務も行う必要があり、管理が仕切れません!
ただでさえ、忙しすぎる業界です。
ミスが続出します
洗濯物トラブルのタイプ分け
・衣服が縮んだ
・紛失した
・破れてしまった
・他の人へ間違って返却した
「洗濯物トラブル」は、頻繁に起こると思ってください
- また!
- この前も言ったでしょ!
何度も起きますよ
入居者のストレス大きい!
特に高齢者ほど、衣服への「愛着・執着が強い」です。
あなたも親もストレスMAXです
あなたが早急にできる対策
- 名前を2か所に書く
- 黒や濃紺の下着・衣類は避ける(名前が見えない・色落ちする)
- 手洗いが必要な衣類は、自宅へ持ち帰って洗う
- 乾燥機厳禁の衣類は、自宅へ持ち帰る
- 弁済を求めたい衣類は、絶対に持ち込まない
大事な服は絶対に持ち込まない方が良いです
黒や濃紺の下着は、名前が見えにくく紛失しやすいです
対策として、塩素系漂白剤で名前を書いて「脱色する方法」もあります。
(爪楊枝など先の細い先端を利用して、脱色作用で名前を記す)
失敗した時のリスクもあり、現場の介護士が実行することはありません。
衣替えの準備・整理は家族がする
施設に持ち込める「下着・衣服の量」には限界があります。
居室内に余分な「服・下着」を置いておくスペースはありません。
季節の変わり目には、あなたが衣類の「持ち込み」「入れ替え」をすることになります。
どの施設も家族がしています
介護スタッフは「衣替え」の入れ替えはしません
私の経験談:
「有料老人ホーム」では、海外で生活しているご家族が何組もおられました。
家族は「衣替えの時期」を狙って帰国していました。
家族によっては「春秋」「夏用」「冬用」を、最低限の数に絞って置きっぱなしにする人もいました。
「タンスの入れ替え」をした経験なしです
身寄りがないなど「特殊な家庭環境」でない限り、介護スタッフが「衣類の入れ替え」をすることはありません。
私の経験談:
80歳代の奥さんが両手に紙袋を抱えて、タクシーを使って衣替えに来ていました。
毎回、季節ごとに紙袋4つ分を「持ち込んで持ち帰る」の往復作業をされていました
年齢は関係なしです
- 仕事で忙しい
- 遠方に住んでいる
言い訳にできないと覚悟してください
携帯電話を持ち込むとトラブルが多い
2010年代から「携帯電話」を持ち込む人が増えています。
あなたの親が「携帯電話」を持ち込むと、あなたはトラブルに巻き込まれる可能性があります。
施設内での携帯電話トラブルを、実例でまとめています
面談で施設から呼び出しを受けることがある
施設へ行くのは、「面会」だけではありません
呼び出しもあります
ケアプランの変更など、「ケアマネージャー」や「施設長」との面談があります。
施設によっては、「家族会」の集まりもあり
補食の準備は家族が行い冷蔵庫も必要になる
あなたの母親には、「毎日食べているもの」がありませんか?
よくある捕食
- 漬物
- 梅干し
- ヨーグルト
- ヤクルト
- バナナ
- 他
施設の食事メニュー以外に「馴染みの食べ物」が必要な場合、あなたが差し入れします。
施設が用意することはありません
「有料老人ホーム」では、居室での個人管理が多い
個人管理の場合、小型冷蔵庫の購入が必要になる
認知症で管理が厳しい場合も、居室の小型冷蔵庫で、介護スタッフが管理します。
私の経験談:
捕食の管理には、「個人管理」「施設管理」の2パータンがあります。
「グループホーム」「特別養護老人ホーム」では、「施設管理」が多かったです。
「施設管理」の場合、介護スタッフが施設の冷蔵庫で預かることになります
但し、施設の冷蔵庫にもスペースの限界があり、「預かれる量」と「物の大きさ」に制限あり
退居の要請を覚悟しておく
「老人ホームに入ったから、もう自宅に帰ってくることはない!」
あなたはこんな誤解をしていませんか?
施設から退去要請があるかもです
退去を要請されるパターン
- 医療行為が必要になった
- 他傷行為(暴力)
- 犯罪行為
- セクハラ行為
暴力行為は「退去」になる可能性が高いので覚悟です。
私は「退去警告」を何度か経験しています
暴力を受けた人が「大きな怪我」をした場合、即退去の可能性あり
契約書を確認してください
私の経験談:
あなたの親が男性なら、セクハラ行為も注意です
私は女性に顔を舐められたり、股間を触られたりすることが、何度もありました。
女性から男性へのセクハラは、笑い話になるだけで問題にはなりません。
まとめ / 親が老人ホームに入居してから覚悟しておくこと
- 親が転ぶと報告の電話がかかってくる
- 親が入院したら家族の付き添いが必要
- 家族が通院の付き添いをする
- 認知症の人が「親の私物」を壊すことがある
- トイレを詰まらせると修理代が高額になる
- 介護スタッフが洗濯した衣服はなくなることが多い
- 季節ごとの衣類の準備・整理は家族がする
- 携帯電話を持ち込むとトラブルが多い
- 面談で施設から呼び出しを受ける
- 補食の準備と冷蔵庫の購入を覚悟する
- 退去になる可能性がある
老人ホームに入ってから「起こりうること」を、私の経験を元にまとめてみました。
他にも思い出し次第、随時アップデートする予定です。
時々、覗いてみてください
「老人ホーム」に入居したらもう安心!
それは誤解だと理解できたでしょうか
老人ホームに入っても、あなたの介護生活はまだまだ続きます。
この記事を読んで、覚悟はしておいてくださいね
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